2020年 3月 の投稿一覧

地域



 瀬戸内海地方は、土地と海とが混ざりあっている。
この海域は岡山だ、この島は香川だ、と行政的には確かにあるけれど、行政区分では分けることができない人の交流が作り出す「地域」が存在している。

 今私がプロジェクトで関わっている岡山県の松島のすぐ隣は香川県の櫃石(ひついし)島だが、島民の方にお話を聞いていると島の方々同士で結婚されて親戚がおられたり、近い香川の島の方に働きに行ったりしている。島の方々は、行政的区画の県や市とは違った「地域」範囲を肌感覚持たれている。

 「地域」という言葉はとてもいい具合に曖昧で、ついつい安易に使ってしまいがちだ。更に現在、とても善いものとされている雰囲気がある。「地域の〜」というと、誰も反対し得ない空気感があるので、何かをする場合に妙な説得力を持つ。
それで世の中には「地域社会」、「地域文化」、「地域アート」などなど、「地域」系のものが乱発されていて多くの人が関わっている。
私自身もその中に身を置いていて、「地域プロジェクト出身アーティスト」というカテゴリーがあるとすれば、その中に間違いなく入っている。だから否定はしない。けれど関わる以上「自分の地域」の範囲をもっと明確に把握すべきだと考えている。

 誰しも肌感覚でそれぞれの「地域」を持っている。それが県単位だったり、市だったり、もっと小さな字(あざな)だったり。範囲はそれぞれ広い人、狭い人がいていい。途中で変わってもいい。
とにかく地域活動をする場合、肌感覚でリアルに感じる「自分の地域」を明確に思っていないと、声の大きい人に引きずられてしまう可能性がありそうな時代であります。

地方の風景

 コロナの影響で、仕事の予定もめちゃくちゃになり、
今日はぽっかりと時間ができた帰り道。
ここのところ曇りがちだった空も強い風に吹き曝されて青空が見えている。
こんな時は車を流して適当なところで停車し、歩きながら風景の写真を撮ったりする。

 地方の風景はどこも一緒になった、とよく言われる。 埋立地に大手チェーンが軒を連ねるバイパスに、どこからか来て何処かへ行くトラックの往来etc. 代わり映えしない、と言われれば私もそう思う。

 とはいえ普段見ているものの中にも、見えていないもの、ハッとするものがある、とも思う。
歩きながら何かワクワクするものを感じるのは、きっとそのせいだろう。

再度 展覧会について

 今日は日常使っている瀬戸内海地方の言葉(脳内ナチュラル言語)で。

つまりは本音です。

VOCA展、ほんま行きたっかのぅ、、と。

 東京での作品発表はアーティストとして初めてじゃけぇね。

色んな人に会えるじゃろうし、何なら外国の人も会えたじゃろう。

言うてもこんな事態じゃし、

もしかしたら、自分が行く事で迷惑かかるんが一番いけん事じゃから致し方ない。

 コロナウィルスで悲しんだり、苦しんどる人は世の中大勢おってじゃろう。

 今はオールジャパン言うとる場合は過ぎてオール人類で闘う時期。
このウィルスの毒性が高い低いは結果的にあるかもしれんけど、
人類の一員としてできることしとこう。

 振り返って展示について

 次の東京での予定は全く入ってませんけれど、
今回、行こう思うていけれんかった方々、お会い出来んかった方々、
どこかでまた巡り会えますことを心から願うとります。

「展覧会」について

 今日からVOCA展が始まった。この展覧会は、上野の森美術館で毎年開催されている全国の平面作家の作品が集まる展覧会だ。

 私は高松市美術館の学芸員 牧野裕二さんにご推薦いただいて、貴重なアドヴァイスをいただきながら出展に向けて制作をしてきた。

 アーティストとして駆け出して以来、東京での作品展示はこれが初めて。なので、オープニングで会場入りする日をずっと楽しみにしていた。

 けれど、昨今世界中に蔓延しているコロナウィルスの件で東京に行くことは断念。

 このウィルス、新型なので世の中の情報は錯綜している。その錯綜中の情報を拾っていくと元気な人間が気づかずに感染し、体の弱い高齢者の方々にうつしてしまう危険性があるという。私も作家活動で関わる方々に高齢者も多くおられるのでこの東京行き中止の判断は致し方がなかった。
予約していた往路の飛行機も欠航で変更要請のメールが来ていたので、世の中のコロナウィルスに対する大きな流れも感じる。

 VOCA展は付随するイベントは大方中止になっているが、展覧会そのものは(3月12日時点において)開催が決定されている。
主催者サイドも判断が難しかっただろう。安倍総理の全国一斉休校要請以来、催しは自粛モードが高まっている。実際東京の他の美術館では閉館が相次いでいる。

その中で、ざっくりと大きなことを考える。
「展覧会」という形式は今後どうなっていくのか。

「展覧会」という形式は残るだろう。残っていく中でオーソドックスなものとして一般認識では権威が高まっていくと思う。

一方で、新しい作品の提示の方法が多種多様に生まれてくるはずだ。

実際、この事態の中でwebを活用した展示のあり方がたくさん試行錯誤されている。
その方法は多種多様で新しい時代の風を感じるものもある。
新しいテクノロジーはいつの時代も魅力的なものだ。

ただ、ここで試されれるのは提示の方法の目新しさだけでなく、
如何に作品を観賞していくことができるか、だ。

作品の提示の仕方が激変する中で、作品を観ること。

展覧会のお知らせ

VOCA2020に出展します。

名称

VOCA展2020 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─

会場

上野の森美術館

会期

3月12日(木)〜3月30日(月)

休館

会期中無休

開館時間

午前10時─午後6時(入館は閉館の30分前まで)

ホームページ

http://www.ueno-mori.org/exhibitions/main/voca/2020/

私は高松市美術館の学芸員 牧野裕二さんにご推薦いただきました。

コロナウィルスの件でイベント中止のアナウンスも出ています。

今日3月11日現在の情報では本展は予定通り開催ですが、

変更もありうるとのことで、お越しの際にはホームページをご覧ください。